【感想】
自分自身ゾウの病気について調べるのも、診るのもはじめてだったので、日本から資料を送ってもらったり、インターネットで調べたりするなど、一から勉強することとなってしまった。そのため内容については十分であったかどうかあまり自信はないが、カンボジアにおけるゾウの飼育状況について知ることも出来たし(現在約162頭飼育、野生ゾウは300〜600頭、2002年、FAO)、2年間活動していく上で、よい機会になったと思う。また、配属先ラボの出先機関に当たる地方獣医事務所の獣医師が診療に当たっているということからも、今後も検体が搬入されたり、相談にのる機会もあると思われる。「採材して、検査をし、その後の方針について、現地の獣医師と相談する」、というラボ本来の仕事の過程について、示すことができたのは、貴重な機会であった。事前の勉強会で話した内容や、治療方針についても、カウンターパートはきちんと理解して現地で説明することができ、とてもよい経験になったのではないかと思う。
今回、ゾウ使いの少年たちがゾウを自在にあやつり、また、プノンバケンで人を乗せて働く姿など見て、日本とはまったく違う形で、ゾウがカンボジアの人々との関係を持っていることを知ることが出来た。日本では動物園にしかゾウは飼育されていないし、飼育係や獣医師ですら、手を触れたり押さえつけたりすることは非常に難しいことで、ましてや治療などしようものなら、ショックで何日も餌を食べなくなることもあるという。アンコールワットの建設時にも大きな石など運んでいたゾウが描かれているし、そういったことがよいか悪いかは別にして、一つの文化の違いについて触れることができ、大変興味深かった。また、バスに乗っている間、道沿いの農家を見ながら、カウンターパートは折に触れ、カンボジアの畜産や農業について話をしてくれ、とても勉強になった。地方獣医事務所の獣医師から仕事について話を聞く機会が持てたのも、普段接することのない自分にとっては、とても興味深かった。
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