期待される成果
1. 採材を予定しているココン州、モンリティー・カンパニーでは、導入時に口蹄疫および出血性敗血症に対するワクチンを接種しているため、経時的に採血することによりそのワクチンの効力を判定することができる。
2. カンボジア全域から牛を購入して肥育しているため、被採血牛の導入地域を把握することによって地域ごとの住血原虫感染状況を推測することが可能である。
3. 採材を行って検査を実施し、得られたデータを整理するというステップを踏むことにより、検査の手技や結果の考察についてスタッフの理解を深めることができる。
4. カンボジア国内における住血微生物保有状況に関する調査は、牛では10年以上前にラタナキリ州で行われたもの、および協力隊員が2002年7月〜2003年1月にタケオ州・プノンタマオ牛繁殖センターについて実施したものしか記録が残っていない。牛では斃死率の高い住血微生物病も存在するため、病勢はやや異なるものの他の感染症との鑑別という点から、現在の感染状況を把握しておくことが今後のNAHPICでの業務に有益である。
5. これまで実施されてきた牛の血液学的検査データについて見てみると、日本や欧米での正常値に比べ、血清総蛋白、ヘモグロビン値などが全体に低値であることがわかる。これは牛の品種や餌の違い、および内部寄生虫感染などに起因するものと考えられるが、本検査を通してカンボジア国内で飼養されている健康牛の正常値を明らかにすることにより、それを基本データとして今後の病畜検査に生かすことができる。 |