ラオスにおけるIn-Country Activity実施計画(2005年度)
牛出血性敗血症及び豚コレラに係る疫学的調査

背 景

ラオスでは国境線が長いため、他国から疾病が侵入するリスクが高く、気候の変動や洪水など、自然現象に端を発すると思われる原因により、家畜疾病の感染が拡大している。特に牛、水牛にとっては出血性敗血症と口蹄疫、豚にとっては豚コレラによる被害が大きく、飼養頭数の多い南部カムアン県では毎年多くの発生が報告されている。それゆえその地域における疫学的調査を実施することにより、当該地域における出血性敗血症と豚コレラの潜在的な浸潤状況を明らかにすると共に、検査を通して家畜衛生センターの診断技術の向上と、野外における採材を通して地域家畜衛生従事者のトレーニングを図る。

目 的

1. 牛出血性敗血症に対する抗体調査を実施し、カンボジア、カムアン県における浸潤状況を明らかにする。
2. 豚コレラに対する抗体調査を実施し、カンボジア、カムアン県における浸潤状況を明らかにする。
3. フィールドにおけるサンプリングを通して、最適な検査材料の採取・送付法や、疾病発生時の対処法を地域の家畜衛生従事者に普及する。

方 法

1. サンプリング
場所:Khammouane Province
       1. Hinboune District
       2. Nakai District
       3. Tha Khek District
       4. Sebanphai District
       5. Nong Bok District
       6. Xaybouathong District
方法:牛の飼育農家を廻るチームと養豚農家を廻るチームの2つに分かれる。
       それぞれのチームは以下の通り4名の構成人員からなる。
              家畜衛生センタースタッフ2名
              県農林局職員1名
              地域農林局職員1名
各チームは時期をずらして8日間の採材(移動日2日間、採材6日間:各地区で1日ずつ)を2回ずつ行い、計約200頭ずつの検体を集める。

2. 検査法
牛出血性敗血症に対する抗体調査にはELISA法を、豚コレラに対する抗体調査にはblocking ELISA法を用いる。システムは基本的にタイにおいて開発し(出血性敗血症の抗原はNAHCにおける精製も可能か?)、専門家によりNAHCスタッフに対して技術移転を行う。本検査に必要な試薬及びプラスティック類についてもプロジェクトから供与を行う。

投 入

1. タイ人専門家(フィールド・ワーク:コンケン・センターから)
2. 日本人専門家(長期:豚コレラblocking ELISA法、短期:出血性敗血症の抗原精製法)
3. 消耗品、日当、宿泊、ガソリン代等
4. 2004年度機材マイクロプレート・ウォッシャー

期待される成果

1. カムアン県におけるワクチン接種状況と、当該疾病の浸潤状況が明らかになり、今後のワクチン接種プログラムに役立てることができる。
2. 採材を行って検査を実施し、得られたデータを整理するというステップを踏むことにより、検査の手技や結果の考察についてスタッフの理解を深めることができる。
3. センタースタッフが市販キットではないELISAの確立を経験することにより、同様の方法を他の疾病にも応用できるようになり、センターの診断能力の幅が広がる。
4. カムアン県において県や地域の家畜衛生従事者と野外活動を行うことにより、家畜飼養、家畜衛生、検査材料の採取法等についての知識が普及され、ひいてはその地域の畜産・家畜衛生事情が向上する。

責任者

Dr. Bounmy Xaymountry       Head of Epidemiology Unit
Dr. Phengphet Vorachit       Head of Animal Diagnostic Laboratory