ルアンプラバン・フィールド活動記 その2の2
ナモン村 (Namon Village) サイト・マップを見る
ナモン村は FORCOM が抱える4つのイニシャル・サイトの中でも一番大きな村である。鶏、牛、豚の3つのグループがあり、それぞれ FORCOM がサポートしている。牛グループは導入した牛を約1時間くらい離れたところで飼育しているというので、今回は状態を見ることができなかった。一方、豚グループは導入された豚をそれぞれの家の庭に小屋を造って飼育しており、一件ずつ廻って各家の主人と話をし、色々な処置を行った。農家によって飼料が違うためだろうが栄養状態の良い母豚と悪い母豚がおり、そういった栄養面でのアドバイスなども今後重要になるだろう。
8月に鶏約 300 羽以上を5回に分けて導入したところ、その後すぐにその半数が死んでしまったという。今回の聞き取り調査で、その5回目に導入した鶏の中にニューカッスル病に感染している個体があり、そこから感染がグループ全体に広まったと推察された。ビエンチャンにおける Dr. ウドムの活動記にも書いたが、市場で売られている鶏の中にニューカッスル病に感染している個体が容易に見つかる。今後、鶏の導入には十分な注意が必要である。
その日の朝、死んだという鶏の死骸を掘り起こしてホテルへ持ち帰り、解剖をした。本来病気の蔓延を防ぐためにその場で終えてしまった方が良いのだが、昼食が終わったらすっかり忘れてしまい、ホテルに戻ってから気がついてあわてて裏の空き地で行ったというのが本当のところだ。当然ニューカッスル病だろうとタカを括っていたのだが、蓋を開けてみれば全く違っていた(下の写真の通り)。
肝臓が異様に肥大し、白色の壊死巣が見られる。病理組織検査の結果は、ヒストモナスという原虫による感染症であった。
腸管にはギッシリと回虫が詰まっていた。ここまでの重感染だと他の感染症がなかったとしても臨床症状が出ていただろう。
プロジェクトから供与された豚が11匹も子豚を産んだ。 家は高床式である。床下でくつろぐ子豚の向こうで活動するスタッフ。 若いお母さんの背中ですやすやと眠る赤ん坊は何とも幸せそうだった。
恥ずかしがり屋の兄弟
床下に干してあった唐辛子
村のお寺、集会場にもなる。
村の農地、収穫の後。
昼にブントム女史と FORCOM のナショナル・スタッフ、ソムチャンがオムレツを作ってくれた。卵をかき混ぜて具を入れるところまではブントム女史が仕切り、それを焼くのはソムチャンが担当。その日、村人と我々スタッフ15人のためにでかいオムレツが3つできた。その日の昼食のメインはイノシシのスープで、これがなかなかの美味で食が進み、餅米に手を伸ばす回数が格段に増えた。
ナタック村 (Natak Village) サイト・マップを見る
この村は FORCOM プロジェクトのパイロット・サイトのひとつであり、つい最近、活動が始まったところである。そのためかまだまだ村人のプロジェクトに対する参加意識が弱く、我々が出かけて行っても関心を示す人が少ない。サイヤブリの街が近くにあって薬が簡単に手に入るため、家畜の具合が悪くなると自分達で適当に治療をしているらしい。そのためか村全体でどのくらいの動物が死亡しているかというような情報をほとんど共有しておらず、村としてのまとまりが低いように感じられた。
村人から話を聞く我がチーム。村人は村全体の感染症流行の状況を把握していなかった。
水牛に駆虫薬を注射する Dr. ブントム。なかなか立派な体格の水牛で、ひとしきり暴れてから観念したものの、ものすごい形相で不満そうにこちらを睨んでいた。
左にいる目つきの悪い意地も悪そうなおばあさんが、僕らの活動中に村の公共水道を壊した。野次馬の中にいた少年がお父さんに言いつけられてシャツを脱ぎ、修理に取りかかった。緑のショーツをはいた少年が一度直したのだが、すぐにまたあの目つきの悪いオババが壊してしまい、もうひとりのボクが加わって二人で直し始めた。結局子供達だけではうまく直らず、後で高校生くらいの男の子が来て何とか元の状態に戻した。ちなみにあのオババは2度目に壊した後、何も言わずにそそくさとその場を立ち去った。
前回のフィールド活動で採取した血清等の検査結果から、ニューカッスル病や出血性敗血症といった突発的な感染症の流行を別にして、特に問題となるような疾病は見つからなかった。それゆえ今回の活動では主に村人に対するサービスに重点を置き、動物からのサンプリングは可能であればという程度に止めた。しかし年に数回程度しか行えない我々の巡回指導には限界があることは明らかであるため、次回は各村の中から能力のある人材を選び、タイ人の Dr. サティスとラオ人の Dr. ブントムが指導をして、それぞれの村の中に少なくとも簡単な治療や検査のための採材のできる人材を育成しようということになった。(200510月 プロジェクト長期専門家 柏崎 佳人 記)
この茶色いメコンの水で洗濯をする青年。洗い終わると白いシャツもちゃんと白くなると聞いたことがある。
「大和魂」を身につけた少年がフェリーに乗っていた。ラオスで売っている紫外線防けクリームの名前だ。日本製なのだろうか。
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