ミャンマーにおけるIn-Country Activity実施計画(2005年度) |
1. マンダレー地域における豚コレラ、オーエスキー病に係る疫学調査 |
背 景
ミャンマーでは重要資機材の不備により家畜疾病の診断能力が大幅に低下してきている。しかし今般、約20年前の無償資金協力「家畜衛生センター機材整備計画」のフォローアップによる機材の大幅な更新が決まり、またこれまで続けられてきたタイ、マレイシアにおける研修の成果から技術的なレベルアップも図られてきた。特に豚コレラ診断に関してはタイ側より診断試薬も供与されたことにより、マンダレーの診断センターにおいて疫学調査や感染材料からのウイルスの分離が可能な環境が整ってきた。それゆえマンダレー地域における豚コレラの疫学調査を行うことにより、これまで不明であった小規模農家(庭先養豚家)における豚コレラの浸潤状況を明らかにするとともに、検査を通してマンダレー家畜衛生センターの診断技術の向上を図る。また可能であれば、その存在は疑われていながら確認されていなかったオーエスキー病の抗体調査も同時に行い、ミャンマーにおける同疾病の感染状況を明白にする。 |
目 的
1. 豚コレラに対する抗体調査を実施し、マンダレー地域における浸潤状況を明らかにする。
2. オーエスキー病に対する抗体調査を実施し、ミャンマーにおける浸潤の有無を明らかにする。
3. 抗体陽性豚から豚コレラウイルスの分離を試み、その技術を修得する。
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方 法
1. サンプリング
場所:マンダレー近郊
方法:サンプリングは基本的に日帰り、人員はセンターのスタッフ4人で今年度中に20回行う。抗体が陽性を示した豚については、その出荷時に屠畜場において採材を行い、蛍光抗体法によってウイルスの存在を確かめてからウイルスの分離を試みる。
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2. 検査法
豚コレラに対する抗体調査にはblocking ELISA法を用いる。システムはタイにおいて開発し、専門家により衛生センタースタッフに対して技術移転を行う。本検査に必要な試薬及びプラスティック類についてもプロジェクトから供与を行う。オーエスキー病に対する抗体検出法については今後検討する必要がある。
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投 入
1. タイ人専門家(豚コレラウイルス分離・培養法)
2. 日本人専門家(長期:豚コレラblocking ELISA法)
3. 消耗品、日当、ガソリン代、等
4. 豚コレラウイルスの標準株
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期待される成果
1. マンダレー近郊における豚コレラワクチンの接種状況と、当該疾病の浸潤状況が明らかになり、今後のワクチン接種プログラムに役立てることができる。
2. センタースタッフが市販キットではないELISAの確立を経験することにより、同様の方法を他の疾病にも応用できるようになり、センターの診断能力の幅が広がる。
3. これまで行われていなかったウイルスの分離・培養技術が複数のセンタースタッフに修得される。
4. ミャンマーにおいてこれまで確認されていなかったオーエスキー病の浸潤状況が明らかになる。
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責任者
Dr. Tin Tin Than Researcher, Mandalay Diagnostic Laboratory |