ベトナムにおけるIn-Country Activity実施計画(2005年度) |
1. 豚コレラに係る疫学調査 |
背 景
ベトナムでは地方家畜衛生サービス体制の不備により、農家レベルでの正確な衛生状態が中央レベルまで上がってこない。特に豚コレラなど、OIEリストAに分類されている伝染性疾患が疑われた場合、農民の間では報告をすると不利になることから(発病報告の結果、移動禁止措置などが執られると、一時的にせよ家畜価格が下がる。発生が確認されたとしても、政府による家畜の買い取り保証はない、など)、関係機関による疾病対策が取られる以前に病気を疑われている家畜を処分してしまい(遠方の家畜市場を通して)、結果として汚染を蔓延させてしまうといったことが日常茶飯事に行われている。
近年、豚コレラのワクチネーションを行っているにもかかわらず、散発的に病気の発生を繰り返す地域があり、子豚の致死率は依然として高い。そのような地域において繁殖豚と子豚双方の抗体価を調べることにより、実際にワクチン接種により抗体価が十分に上がっているのかを調べ、かつ繁殖豚については抗原検出試験を行い、その地域において豚コレラウイルスがどのように循環しているのかを明らかにする。 |
目 的
1. 豚コレラに対する抗体調査を実施し、ワクチネーションを実施していながら病気の発生が起こる原因を考察する。
2. 繁殖豚について市販のキットを用いて抗原検出を行い、ウイルスのキャリアとなっている動物の存在の有無を確認する。
3. 病気発生の問題のある地域においてきめ細かな家畜衛生サービスを行い、農民の信頼を得る。
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方 法
1. サンプリング
場所:北部2県(Phu Tho, Nam Dinh)の1地区ずつ
方法:サンプリングは基本的に1泊2日、人員はセンターのスタッフ4人で各地区ごとに3回行う(計6回)。第一回目は農家へのインタビューと視察を行い、どの農家の豚から採血するかを検討する。第二回目に30頭の繁殖豚とその子豚60頭から、そして第三回目の採材でそれらの子豚からもう一度採血を行う(各地区30+60+60=150頭から採血、2地区で合計300頭)。
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2. 検査法
抗体調査にはblocking ELISA法を用いる。システムはタイにおいて開発し、専門家により衛生センタースタッフに対して技術移転を行う。本検査に必要な試薬及びプラスティック類についてもプロジェクトから供与を行う。抗原検出には市販のELISAキットを用いる。 |
投 入
1. 日本人専門家(長期:豚コレラblocking ELISA法)
2. 消耗品、日当、ガソリン代、等
3. 2004年度機材ELISAプレート・ウォッシャー
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期待される成果
1. 問題のある地区における豚コレラワクチンの接種状況と、当該疾病の発生状況が明らかになり、今後のワクチン接種プログラムに役立てることができる。
2. センター・スタッフが、市販キットではないELISAの確立を経験することによって同様の検査法を他の疾病にも応用できるようになり、診断センターの検査態勢の幅が広がる。
3. ワクチンを接種していながら散発的に発生が起こる原因が解明される。
4. 農家に対してきめ細かな家畜衛生サービスを行い、農民の行政に対する信頼回復につながる。
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責任者
Dr. Nguyen Thu Ha Chief, Virology Section, NCVD
Dr. Nguyen Tung Researcher, Virology Section, NCVD
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