Lake Mburo National Park、再訪 (地図を見る)

      3 月 7 日 にカゾを訪れ、その日はムバララ泊。翌日は土曜で仕事も休み。真っ直ぐカンパラへ戻るのも面白くないので、再びムブロ湖国立公園へ立ち寄ることにした。

3 月 8 日 (土)
      朝、ホテルの部屋で目を覚ますと雨の音がする。かなり激しく降っているようだ。「またかよ」と思う反面、すぐに止んで晴れ間が見えてくるのではないかという淡い期待も抱く。前回、ムブロ湖へ出かけたときも公園までの途上はずっと雨だったが、到着する頃には雨が上がって晴れてきた。今回はどうだろう。外へ出てみるとその淡い期待も押しつぶされてしまうくらいどんよりとした雲に覆われた空が目に飛び込んできた。少し光が通りそうな薄い雲の明るいところがどこにもないのだ。ホテルを後にし、その沈鬱な雨模様の中へと入って行った。
      ムバララの街を出てから 30 分ほどでサンガに着く。かつてドイツが獣医ラボを整備をしたが、その後、全ての機材を売り払われてしまったという町だ。雨はまだ強く降り続いている。ここから国立公園の Sanga Gate へと続く道が分岐しているはずなのだが、どこを右に曲がればよいのやらわからず、前回と同じ道を通って Nshara Gate へ向かうことにした。すると急転直下、向かう先の雲に光が差し込みはじめ、ゲートに到着する頃には雨が小降りになってきた。公園内に入ると、雨はほとんど気にならなくなった。まだ曇ってはいたが、どんよりと重かった雲はその歩みを速めている。前回と同じだ。すぐに晴れ間も見えるようになってきた。日頃の行いが良いのか、自分が晴れ男のせいなのか。


Nshara Gate

Topi, Burchell's zebra & Impala seen from the Eland Track

Burchell's zebra

Ankole cattle grazing in the National Park

      前回行きそびれたところを廻ろうと、まず Eland Track への入口を探すが見つからず、仕方なく Impala Track まで行き、そこから Eland Track へと進んだ (地図を見る)Eland Track 沿いはサバンナ地帯だ。ブッシュが少なく広い草原で視界がきく。今朝は雨が降っていたものの、暦の上では乾期で水が少なかったとみえ、大地の草は赤茶けている。それをより分けるようにシマウマや、トピ、インパラ、イボイノシシあたりが入り乱れて草を食べている。今日の方が動物が多くいるように思えるのは、水の飲み場が限られているためだろうか。アンコーレ牛までもが国立公園内を徘徊しているのは、まわりの牧野に草が少ないためだろうか。結局 Eland Track を走行中にエランドを目撃することはできなかった。
      一旦 Zebra Track に戻ってから Ruroko Track に入る。前回、逆ルートを進んでたどり着けなかったところだ。ここでも道沿いにアンコーレ牛の大群がいた。その群をかき分けてどんどん進んでいくと、知らず知らずのうちにまたもやミヒンゴ・ロッジに行き当たってしまった。仕方なく逆に戻り左へ入れそうな分岐点を探す。と、前回も入り込み、しばらく走ってから引き返した道がやはりそれらしいと感じ、その道を進むことにした。道はその両脇を木々で囲まれており、見通しがきかない。アップダウンも激しい。本当にこれでいいのかと少し不安になったが、道そのものは Track と呼ぶにふさわしい程度に整備されていたので、まあこのまま行きまっしょい、ということになった。と、車のすぐ右手にバッファローが出現。筆者は若干焦るも、バッファローの恐ろしさを知らないドライバーは喜々としてそのすぐ脇を通っていった。
      しばらくすると平地に入り、視界も開けてきた。左手に Ruroko Kopje の道しるべが見えたので、この道で正解だったと確信する。動物は Eland Track に比べると少ないものの、それでもトピやウォーターバック、イボイノシシ、インパラなどをそこここで見かけた。同じような動物たちに飽き始めた頃、草原の少し先にかなり大きなレイヨウ類を 4~5 頭発見。エランドだ。見つけたときはかなり近くにいたのだが、カメラのスイッチをオンにして起動を待っている間にブッシュの中へ消えていってしまった。

Topi

Zebra

Impala

Kazuma Hill


A view from Kazuma Hill

      エランドを目撃してすぐ、我々は Kazuma Hill に到着。日本人みたいな名前で親近感が持てる。自分の子供に「一馬」と名付け、成長してからここに連れて来て「お前の名前はこの丘からもらったんだぞ」と言うのもいいかもしれない。前回、短期隊員と訪れたときにはついぞたどり着けなかった幻の丘である。空へ向かうように坂をてくてく登っていくと、素晴らしい景色が 360 度に広がっていた。この時までにはすっかり晴れ上がっており、空と同じ色の湖がいくつも見えた。こういう景色を写真に収めるのは本当に難しい。その場に立って初めて体感できる眺望。写真に切り取ってしまうのはもったいないのだ。

Hippo

Sky on the lake

Pied kingfisher (Ceryle rudis, male) on the lake shore

Waterbuck

      Kazuma Hill を後にして湖畔のレストランへ向かう。近くの水面にカバが数頭顔を出している。晴天の下の静寂の中、彼らの息遣いだけが響いている。沢山の蝶が舞い平和そのものだ。しかしレストランのスタッフは長いことこの地にいて平和ボケをしてしまったのか、注文した料理がなかなか出てこない。そういえば前回もさんざん待たされたことを思い出した。こんなことなら注文してから近くの Kigambira Hill にでも出かければ良かったと後悔する。パンフレットには、「この Kigambira Hill からムブロ湖が見渡せる」と書いてあった。
      注文をしてから 1 時間以上も過ぎた頃、ウェイターがフォークやナイフ、ケチャップなどを運んできた。しかしここで喜んではいけない。このレストランはそんなに甘くはないのだ。確か前回もこの後、実際に食事が運ばれてくるまでに 30 分くらいはかかったはずだ。と、案の定、今回も約 30 分後にやっとこさ食事がテーブルに並んだ。ほとんど客はいないというのに、キッチンではいったい何をやっているのか、非常に興味の湧くところである。というわけで、現代人の悲しい性か、こんなに平和なレストランでも 90 分という時間を平穏に待てない自分が苛立たしかった (腹が減っていたせいも十分にあるが)。レストランに到着したのが正午を少し廻った頃。食事を終えた時にはすっかり 2 時を過ぎていた。野生動物を堪能し、丘の上からの景色に感激し、お腹も膨れ、我々はカンパラへ向けてムブロ湖を後にした。

ホームページ・トップへ戻る。

2008 年 3 月 長期専門家 柏崎 佳人 記