一年前、この地にやって来た。家畜の病気、特に感染症を減らすプロジェクトで働くためだ。JICAがウガンダでこの分野の協力を実施するのは初めてのこと。家畜はアフリカでも重要な蛋白源であり、財産でもある。
アフリカの現場は先進国からの援助に肩まで浸かり、不必要に甘やかされている、と感じていた。職場の人間は、心地の良い椅子に座ってドナーが来るのを待ち、自分たちのかわりに働いてもらい、たまに仕事を手伝うだけで法外な手当をもらっているように見えた。本当に国を発展させる気があるのだろうか、と疑問がふくらむ。部族社会だから、国に対する帰属意識が弱いのだろうか、とも思う。
そんな折り、ザンビア大学獣医学部において、JICAが20年にわたり進めてきた協力の現場を視察した。そこで目にしたのは、主体的にプロジェクト活動を進め、問題点を認識し、日本語で冗談を言うザンビア人スタッフの姿だ。いったいこの違いは何なのだろう。自分の同僚の中には、現在進行しているプロジェクトの内容を誰かに説明できるスタッフがいるだろうか。
「土の上に風はやさしく吹いて、気高き未来の種をはこぶ」と始まる歌がある。この曲を聴く度にアフリカを想い浮かべていた。ザンビアでは20年前に風が吹き、長年に渡る努力の末に大きな実がなった。ここウガンダでは、僕が来たことで風は吹いたのだろうか。そして実はなるのだろうか。ひとつ確かなことは、「やめた」と思った瞬間に、全てが終わるということ。「継続は力なり」は重い。それはじわじわと効いてくるものなのだ。
その歌は「天の恵み雨は命をあらい、緑は燃える花は咲き狂う」と続く。今度は僕らが彼らの肥料となり、幸せな顔の花を咲かせる番なのだろう。 |