Murchison Falls National Park
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Part 2
8 月 23 日 (土)
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)
動物を見るにはやっぱり朝だ。早く出かけるつもりで 7 時から朝食を食べたが、結局モタモタしていてホテルを出たのは 8 時過ぎになってしまった。セスナ飛行場までは昨日と同じ道をたどり、その先を左に折れてクィーンズ・トラックに入った。コブやオリビが多い。たまにイボイノシシが車の前を横切るが、背が低いので草に隠れてしまい、写真を撮るのは大変である。そのうちにキリンが其処此処に姿を見せ始めた。ユッサユッサとあのリズムで歩いている。中にはひどく黒っぽい個体がいてその紋様もはっきりせず、いったいどういう経緯からこのような色になったのか興味深かった。
9 時を過ぎて既に太陽は高く、日射しも強く感じられる。多分ダメだろうなあと思いながらも僅かな期待を胸に、ライオン・トラックへと車を進めた。昨日とは反対側から入って行くことになる。思いのほか道路脇に広がる草の丈が高い。これではたとえライオンが近くにいたとしても気がつかないだろう。僅かな期待はすぐにしぼみ、草には隠れようもないキリンに目を奪われているうちに反対側のアルバート・トラックに出てしまった。「何だ、こんなに短かったのか」と名前負けしているライオン・トラックをやり過ごし、アルバート・ナイル沿いにデルタ方向へと進んだ。すると河岸の草原にカンムリツルの群を発見。車を離れて外に出た。ゆっくり近づいて行くと、ツルはある距離を保ちつつ逃げるが、飛び立ちはしない。歩く姿は十分に堪能したので次は飛んでいるところを、という筆者の要望に応え、越後谷隊員が走って追い立てた。すると嫌々ながらも優雅に舞い上がったが、どこかへ飛び去りはせずにまた戻って来た。ツルにとっては傍迷惑な追い立て屋だったことだろう。しかしおかげでツルらしい写真を何枚か撮ることができた。
Pakuba airstrip
Grey crowned crane
Grey crowned crane
Grey crowned crane
デルタ・ポイントに入って行くと、前方にサファリカーが 2-3 台駐まっていた。河岸を見るとゾウの群がいる。入り江の向こう側に小さな一群が、そしてこちら側には大きな一群がいた。かなり離れていたが、それでも昨日草原で見たゾウの群れよりも格段に体が大きいのがわかる。少し離れたところから子象がその群の方に駆け寄って来た。するとそれを待っていたかのように一群が動き出した。どうもこちらの方へ向かってくるようだ。「車をもっと前に移動させろ」と、他のグループに付き添っていたレンジャーに言われ、前方のサファリカー近くまで寄せた。夢中でゾウを追っていた学生たちも、同様に車の近くまで呼び寄せられた。ゾウの群はノシノシと前進を続け、先に我々がいたあたりを通って内陸側の草原へと移動して行った。どうしても遅れぎみなる子ゾウがかわいらしい。そのレンジャーが言うには、子ゾウを抱える群はかなり神経質になっており、危険なのだそうだ。この時の緊張感は写真でも動画でも、ましてや筆者がしたためるような稚拙な文章では伝わらないことだろう。このゾウの一群との遭遇を経験しただけでも、ここまで来た甲斐があったように思えた。
加藤さん (左) と戸田くん
Fishermen on Albert Nile
African elephant
ゾウの隊列をバックに一枚、少し緊張気味な 4 人
ゾウとの接近遭遇を終えた我々はデルタ地帯をうねるように走るトラックを進んだ。ここらあたりはビクトリア・ナイルがアルバート湖に注ぎ込む一帯で、川は分岐しデルタを形成している。相変わらずコブやオリビがあたりを飛び跳ねている。またウォーターバックの姿も多く見かけた。しかし、簡単に見られるであろうと予想していたカバはといえば、遠くの水面に目と耳と鼻の穴が見えるだけで、岸辺に上がって草を食んでいる個体などはいなかった。どうも昨日、船着き場近くであまりにも簡単にカバの全身を見てしまったので、どこでも見られるだろうと思いこんでしまったようだ。まあ、こんな炎天下に皮膚の弱いカバが上陸するはずはないのか。次回は船に乗って川を上ってみようと思う。そうすれば河岸に上がったカバやワニ、水を飲みに来るゾウやキリンなどが見られるそうだ。それにマーチソン滝の全容も拝むことができるというものだ。
Oribi
Waterbuck
Hippopotamus
Baboon
African buffalo
近藤くんの任地、キボガの宿舎で
我々はビクトリア・トラックを通ってパラーに戻った。今日の船着き場ではバブーンがゴミをあさり、桟橋近くで一頭のバッファローが怒っていた。12 時のフェリーに乗り、南岸に渡る。近くにあるレッド・チリ・レストキャンプで昼食を食べてから帰途につく。近藤くんをキボガで降ろした後、少し車を走らせたところで、きれいに大地をまたぐ虹が見えた。その下をくぐることができそうなくらいに現実的であり、かつ夢に出てきそうなほど美しい虹であった。
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2008 年 9 月 長期専門家 柏崎 佳人 記