モンリティ社牧場でのサンプリング計画案を見る

1.飼養頭数
2005年2月11日現在で、ウシ390頭、水牛110頭、計500頭。通常10〜20%が水牛で、他がウシとなる。妊娠してくるウシもいるので子牛の頭数がプラス・アルファーされる。ただし全て7歳以下。

2. 年間導入回数
不定期

3. 一回の導入頭数
一回の頭数は不定だが、月に約100頭以上。2005年2月11日現在マレーシアへの輸出が止まっているため、2月3日の13頭導入を最後に購入していない。ウシの値段は一定しておらず、農場へウシを見て値段を相談して購入するという方式。ウシの年齢は歯の色や角の大きさで見て決める。

4. 導入地域
昨年後半はコンポンチャム州、コンポンチュナン州、ポーサット州が多かったが、最近2〜3ヶ月はストゥントレイ州、モンドルキリ州、ラタナキリ州が多くなっている。

5. 運搬方法
モンリティ社のトラックにウシを乗せてくる。地域と時期(雨季)によっては船を使うこともある。

6. 農場概要
Rough sketch & flow of cattle in the farm 参照

7. 農場内のウシの流れ
Rough sketch & flow of cattle in the farm 参照

8. 飼育期間
二回目のワクチン接種まで21日、その後約25日間肥育して出荷する(計45日)。


牛からの採血

9. 餌について(右下表参照)
農場内に5 haの牧草地があり、“Naspia”という牧草を植えている。


採血されて何故か陶酔する牛
Balance Feed Stock (21/12/2004)
No. Name kg Bags
1 P.K.E. 24,500 490
2 P.K.S. 22,750 455
3 Copra 8,750 175
4 W.Dollard (Pollard?) 7,000 140
5 Corn Mill 18,750 375
6 Salt 2,950 59
7 Rice Straw 6,000 -

10. ワクチネーション
1st vaccination:農場到着6〜12時間後、あるいは翌日→出血性敗血症(HS)
2nd vaccination:20日後→口蹄疫(FMD)
*ウシの体調が悪そうなときは、農場到着後3〜5日経ってから1st vaccinationを実施。ただし、マレーシアへの輸出が止まってからは、急ぐ必要がなくなったので、農場到着後3〜5日経ってから1st vaccinationを実施している。

11. 治療や投薬
1st vaccinationと同時に、寄生虫駆除薬(商品名「ロリノール」(薬物名:ニトロキシニール)内部寄生虫(線虫・肝蛭)駆除薬、オーストラリア製:FORTDODGE社)のスプレー実施。この他、テラマイシン、ジクロフェンチオンスプレー(外部寄生虫対策)を使うことあり。体調が悪そうなウシ(元気がない?)には、イベルメクチン(内部・外部寄生虫薬)を投与することもある。投薬しても治る見込みがなさそうなら、治療はせずに屠場に出荷。

12. 病気の発生
FMDが多い。肺炎はないが下痢(血液は混入しない)は起きる。餌が変わるせい?と考えている。(2月15日に採材したような)皮膚真菌症は常時30〜40頭くらいいる。
    バッタンバン州、ストゥントレイ州からのウシはFMDが多い傾向を感じる。バッタンバン州はタイとの国境でウシの行き来が盛んなため、また、ストゥントレイ州は、バンテアイミエンチェイ州からウシが運ばれて来ていることが多く、ここはFMDの多発地帯であるため。


血液塗抹標本の作製

13. 輸出の回数
月に約700頭。牛は一部カンボジア国内で販売するが、ほとんどのウシはマレーシアへ行く。マレーシア以外の他の国への輸出はない。

14. 輸出(移動)方法
マレーシアへは船で移動。

15. 個体識別の方法
耳票あり。導入地域の略号(例:クラチェ州からなら、“KRA”など)と、ウシの個体番号が記入されている(右写真参照)。


台帳があるので、導入日やワクチン接種日など、個体の情報を確認できる。導入前の農家でのワクチン接種状況や、疾病の発生状況についての把握は不可能とのこと。

16. その他
*なぜマレーシアへの販売を止められてしまったのか
カンボジアから来るウシはFMDにかかっていることが多く(100頭中8〜10頭くらい)、現在マレーシアでは侵入を防止したい考えのため。モンリティ社ではワクチン接種しているが、もともと持っているウイルスが消えるわけではなく、地域にもよるが、農家段階でのワクチン接種がほとんど実施できていない現時点では、輸出再開できる予定はない。再開できないようなら、ウシを全て売ってしまい、事業は中止するかもしれない。その時期については未定とのこと。
*農場には従業員の他、獣医師が二人勤務しており、その二人の獣医師は畜産局からの派遣である。モンリティが閉鎖した場合、二人は畜産局に戻ることになる。(20055月 青年海外協力隊員 坂井田 総子 記)

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