バガンは、ミャンマーはもとより東南アジアで最も魅力的な場所のひとつである。イラワディ川を背に、40キロメートル四方の大地に、数千というストゥパ(仏教の記念碑)やパト(仏教寺院)が林立している。その大地に立つと自分を取り囲むあらゆる方角に、様々な大きさの遺跡を見渡すことができる。あるものはアナンダ寺院のように空に向かってそびえ立ち、数多くの歴史的な物語に彩られており、またある遺跡は優美でありながらも小さいがゆえに、数に数えられることだけでその存在を示している。
この地に人が住み始めたのは西暦の初期に遡るが、バガンの黄金期は 1057 年にタトンが征服した時に始まる。その繁栄は約 200 年続いた後に衰退を始め、1287 年にモンゴルのクブライ・カンによって侵略された。しかしこの2世紀半の間にこれだけの数の素晴らしい建造物が造られわけである。それはあたかも、中世ヨーロッパのカテドラルすべてがひとつの小さな地区に建設され、後に忘れ去られて何世紀にもわたり手をつけずに放置されていたようなものである。 |