専門家の仕事(ヤンゴン中央病性鑑定センター)
11月7日より1週間、タイ人専門家 Dr. スラポンと要田国際協力専門員がヤンゴン中央病性鑑定センターに赴任し、牛結核の診断技術に係る技術移転を行った。牛結核やブルセラ病といった感染症の清浄化は、特に酪農が盛んな国においては避けて通る事のできない課題であり、この地域において牛乳の消費が非常に多いミャンマーにとっても今後、取り組まなくてはならない疾病である。
センターのスタッフを相手に、結核病について熱っぽく語る Dr. スラポン。左手に持っているのはツベルクリン反応の腫脹の大きさを図るメジャー。
センタースタッフ。前列左から Dr. スラポン、副所長、要田専門員、所長、ワクチン製造部部長の Dr. アウン・キン。
      要田専門員はヤンゴン近辺の酪農事情を視察するため、小規模酪農家を訪れた。当プロジェクトの今後の方向性を探る目的もある。
      牛舎はおおむね左や下の写真のような感じであった。
搾乳はもちろん手作業だ。搾った乳は各農家で滅菌され、パッケージや瓶に入れて近所の家庭に供給される。ミャンマーでは農業協同組合や大きな乳業会社がないため、牛乳の流通はこういった生産者から消費者への直接売買が主流のようである。
Dr. スラポンはツベルクリン反応試験のデモンストレーションをするために、ヤンゴン郊外の酪農家を訪ねた。牛が約 400 頭いるというので、日本の酪農家と比べてもかなり大きな規模だ。まず同行したセンターのスタッフに手順を説明してからツベルクリン用の PPD 抗原(結核菌から抽出された抗原)を尻尾の根本から尻にかけて延びるヒダの柔らかい皮膚内に接種。そしてその結果を調べに3日後、もう一度牧場を訪れた。持参した抗原量の関係で 12 頭しか調べることはできなかったが、それでも1頭が陽性、2頭が疑陽性という結果が出た。結核菌は経口的に感染するため、他の牛にも広がっている可能性があり、早急に全頭の検査をすることが望まれる。(200511月 プロジェクト短期専門家 要田 正治 記)
検査結果を調べた最初の牛が陽性で、一同唖然とした。
ツベルクリン反応陽性牛。左側に比べて右側のヒダが腫れているのがわかる。
"専門家の視線"へ