専門家活動記・イン・ハノイ、その2(2005 年 12 月) |
短期専門家として要田専門員の最後の訪問地、ベトナムへは3人のタイ人専門家が同行した。ウイルス学の Dr. スジラ、血清学の Dr. モナヤ、病理学の Dr. チラである。Dr. スジラは組織培養法、Dr. モナヤはブルセラ病の血清診断法、そして Dr. チラは免疫組織化学染色法に係る技術移転を行った。 |
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国立獣医診断センター (National Center for Veterinary Diagnosis: NCVD) ではちょうど FAO の主催による鳥インフルエンザ診断のための Real Time PCR 技術や FMD 診断法などの研修会が開催されており、特にウイルス研究室のスタッフはそちらへの対応に追われていた。
しかしその中で、ウイルス研究室のロン(左上の写真でベンチに座っている男性)が Dr. スジラ(左上の写真、右端)のカウンターパートとなって細胞培養技術を修得した。ロンはこれまでにタイ、日本、ドイツで細胞培養に関しての研修を受けてきたが、自国に戻ってからは一度もその技術を応用する機会がなかった。Dr. スジラは細胞培養に必要な消耗品類、試薬・培地類を持参し、ベトナムでもその気になれば培養ができることを実証、奨励した。特に豚コレラの診断には細胞培養が不可欠であることを関係者に協調した。 |
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病理ラボでは、人事異動により以前病理学の研修をバンコクで受講した獣医官が血清ラボへ転出しており、残ったスタッフは経験が少ないために短期間で免疫組織化学に係る技術を習得できるか不安であった。というのも、免疫組織化学にはその前段階としての病理組織学が不可欠であるからだ。しかし Dr. チラ(左上の写真、左端)の機転により、タイより持参したブルセラ病の組織切片を免疫染色することとし、ひと通りの技術はベトナム人の手で進めることができた。 |
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血清ラボでは Dr. モナヤ(上の写真、中央)がブルセラ病についての補体結合反応試験と ELISA 試験の技術移転を実施した。ベトナム側の中心になったのはつい数週間前までバンコクで研修を受けていたバー(左上の写真、右端)で、自己の検定を納得のいくまで何度か繰り返していた。本研修には国立獣医研究所 (National Institute of Veterinary Research) から2名が参加した。ブルセラ病はベトナムでは未報告であるが、家畜改良が今後進むにつれて浸潤する可能性もある。 |
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センタースタッフとの懇親会をかねたミーティング。色々と意見交換をした後、酒も入っていないのにカラオケとなる。 |
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ミーティングの席上、何かものすごく重要なことを話している要田専門員。つい昨年まで5年もベトナムで仕事をしていたため、人一倍思い入れが強い。 |
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来年度の活動としては寄生虫病、鶏サルモネラ症の診断に関しての要望があり、タイ人専門家の派遣を検討することになろう。また長期的な活動計画に話が及んだ際、ベトナム側からは高度技術導入の話があったが、ベトナムの問題は家畜衛生網が未整備であるという点で合意し、NCVD もそのネットワーク作りに尽力すべきであるという説明に納得した。(2005年12月 プロジェクト短期専門家 要田 正治 記) |
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ベトナムの鍋をつつくタイ人専門家 (年増) 三姉妹。タイ人同様、ベトナム人も食に対するこだわりが強く、毎日毎食、色々なレストランへ連れて行ってくれる。 |
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