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    カンボジア、ラオス、ミャンマー及びベトナムは経済的にも発展途上であるため、畜産は農業経営の一部として営まれており、畜産専業経営にまで発展したものはほとんどない。基本的には小規模な経営が多く、役畜としての大家畜(牛、水牛)に加え、庭先で養豚・養鶏などを行うことで農家の自給及び余剰部分の販売による現金収入を得るものが多い。
    しかしながら農家収入に占める畜産のウェイトは高く、牛・水牛(一部の国では豚)が農家の資産も兼ねて貯蓄されており、農村部における農業の重要な構成要素となっている。このようなことから各国とも畜産振興は重要な課題のひとつであり、家畜飼養頭羽数で見れば中期的には増加が続いている。
    その家畜飼養形態は従来からの粗放的なものが中心で、牛・水牛は放牧の他、稲わらなどの農場副産物で飼育されており、豚、家禽(鶏、アヒル)では、圃場副産物、残飯などの他、雑草などを自由採食して育つものが多い。また品種は各国ともほとんどの農家によって在来種が飼育されている。なお、養豚・養鶏では改良種の導入も始まっており、国による程度の差はあるものの、配合飼料などを利用した企業的な畜産も成長しつつある。
    各国政府とも衛生対策は最優先課題として取り組んでいる。疾病等による家畜死亡率は非常に高いが、ワクチン接種などの衛生対策は進んでいない。国境を越えた家畜の移動に伴う口蹄疫(FMD)の発生が数多く見られる他、出血性敗血症(HS)(牛・水牛)、豚コレラ(CSF)ニューカッスル病(ND)などの疾病が課題となっている。各国とも獣医師の数が極めて限られているが、農村でのワクチン接種・家畜診療などを行う者を訓練し、普及に努めている。しかし衛生対策は農家レベルまで必ずしも十分にいきわたっていない。
    それゆえこれら4疾病を当プロジェクトでは最重要疾病として位置づけ、診断技術の向上、ワクチン生産技術の強化、普及活動、野外調査など、多方面からそのコントロールに力を注いでいる。