ルアンプラバン・フィールド活動記 その3の1
ラオス森林管理・住民支援 (FORCOM) プロジェクト」サイトでの家畜衛生サービスは今回で既に四度目、当プロジェクトとの協力活動としては最後になる。今回はタイ人専門家の Dr. サティスが先行して出かけ、これまでにも活動を行ってきたサイヤブリ県のナモン村やナタック村において、FORCOMのスタッフと共に家畜衛生サービスを実施した。
1週間後、筆者がビエンチャン家畜衛生センターのスタッフ、アンポンペットと筆者がルアンプラバン入りし、当プロジェクトからのスタッフは3名になった。我々はFORCOM スタッフ3名に連れられて、プロジェクト・サイトであるラオス北部の3カ村を訪れ、これまでと同様の家畜衛生サービスと採血を実施した。ルアン・ナムター県のパーカー村とシリムーン村は北西部ミャンマーや中国国境にほど近いところに位置し、移動にかなりの時間がかかった。
トラクターの荷台で愛嬌を振りまいてくれた少年。ひとりだけずっと後ろを向いてニコニコしていた。
ずっとついて案内してくれたが、寺の拝観料や最後にはチップをねだってきた。
何やらお母さんに叱られている様子。「ご飯を残さず食べなさい」と言われているのだろうか。
歌にあわせてひとりずつ順番に踊っていた。ピョンピョン跳びはねて、すごく快活なフリだ。
ルアンプラバンから北へ2時間ほど走ったところにパック・モンという町があり、ここを右に曲がるとヴィエン・カム、左に折れるとウドムサイにたどり着く。
最初に訪問する予定であったヴァンヘウン村はヴィエン・カムの近くなので、パック・モンで右に折れ、ナム・オウ川と交わる所に位置する風光明媚なノン・キアウという村で一泊することにした(左下の写真)。ラオスでもこのところエコツーリズムなるものが欧米人観光客を相手に盛んになって来ており、この自然に恵まれた村でも観光客の姿を多く見かけた。新しいゲストハウスやレストランも目につき、そのうちに湯布院の目抜き通りのようになってしまうかもしれない。ルアンプラバンからは船で来るのが人気らしい。
左からタイ人専門家のサティス、FORCOMのブントム、アンポンペット、FORCOM長期専門家の三好さん。
煉瓦色をした川の水と河岸の土の中に、ボートの水色と草木の緑が映える。
村の小学校では手前に1, 2年生、向こう側に3, 4年生がいて、黒板も半分ずつ使っている。
5, 6年生はもう一つの教室を使っている。これだけの生徒を若い女先生がひとりで教えていた。
      ヴァンヘウン村は山間に位置する村で平地が少ない。それゆえ米作をすることができず、村人の収入源として畜産は大きな意味を持つ。家畜数も水牛が 7,500 頭、豚が 32,000 頭、山羊が 7,200 頭、家禽が198,000 羽と、他の村に比べて桁違いに多い。
      そのために村人の家畜衛生に対する意識が高いのだろう、我々が訪れた日には多くの人たちがミーティングに集まってくれた(上の写真)。まずサティスとブントムが中心になって、村人たちから疾病発生状況や動物の健康状態について聞き取りを行った。するとサイヤブリ近辺の村で問題になっていた豚コレラや出血性敗血症といった重要な感染症による大量死はなさそうだが、いくつか同様な症状で死んでいく疾病があることがわかった。例えばある地区に牛を導入すると血色素尿を排泄するようになり、長い経過を経て死亡するという。また FORCOM の支援で導入したヤギが生んだ子供 22 頭のうち 14 頭が生後 2-3 週間で死んでしまったらしい。山羊にスクレイピーという病気も流行しているようだ。
      次にこれらの点をふまえ、ひとつひとつの家畜の衛生管理についてサティスが講習を実施した。サティスの語り口は穏やかでわかりやすく、かつひとつひとつの問題点について具体的な解決策を示していくので、村人たちも真剣に耳を傾けていた。その後で数頭の家畜から採血および治療を行い、その日の村における活動を終了。翌日のパーカー村での活動に備え、休む間もなくウドムサイまで車を走らせた。
この村では織物が盛んで、各戸の床下のスペースに機織り機が並び、女性たちがパタパタと仕事をしていた。
ミーティングが終わり動物からの採血を始めた頃にちょうど学校も終わり、暇な子供たちが集まってきた。
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