ルアンプラバン・フィールド活動記 その3の3
3カ所目の訪問サイトであるシリムーン村は同じ地区にあり、パーカー村からルアン・ナムター市へ戻る途中にある。昨日同様に快晴で、やはりここでも村人の多くは収穫に出かけていた。午前中、子供たちも学校へ行っているため、強い日射しの中で村は閑散として静まりかえっている。天日にさらされた唐辛子がじりじりと干涸らびて赤味を増し、あちこちに干された色とりどりの洗濯物と共に、単調な枯れ色の村にアクセントを添えている。
ミーティングの会場は村長の家の床下だった。
この村でも村人たちが集まるまでの間、先に採材と治療を済ませることにした。まず具合の悪い牛を看て駆虫薬を投与したところ、どこにいたのか次々と牛を引き連れた村人が現れ、にわかに活気づいてきた。牛の次は豚で、普通であれば僕らが各戸をまわって診療していくが、ここれは泣き叫ぶ豚を村人が抱えたり追っかけたりして連れてきてくれ、移動することなくスムーズに採血や投薬を済ませることができた。そして村人の数も増え、ではミーティングを始めようということになった。
      そうこうして準備も整い、サティスが村人たちにインタビューを始めた頃、子供たちの元気な声が聞こえてきた。道へ出てみると学校が終わったのだろう、三々五々、駆けたりおしゃべりをしたりしながら鞄をタスキがけにした悪そうなガキどもが帰って来る。
      右の二人は村長の子供らしい。女の子はなかなかの美人で、色っぽい仕草も板に付いている。カメラを向けると恥ずかしがっていたが、しばらくすると着替えをしてミーティングを見に現れた(下、真ん中の写真)。
ヴァンヘウン村同様に、ここでもサティスの講習会は関心高く受け止められ、参加者とのコミュニケーションをうまく取りながら和気藹々と進んだ。FORCOM では基本的な動物用医薬品のバンクシステムを作ろうと計画している。例えば駆虫薬や抗生物質のような薬品類である。それを村人からの出資金で賄っていこうという狙いであるが、どうしたって最初はこちらでそういった薬をサービスとして使い、その効果がどの程度あるのかを示さなければならないだろう。効果が見えないものに金は出さない。
シリムーン村近くの中国国境、パンガイ。この先、数キロ行くと中国に入るそうだ。ここは中国人とラオス人だけが往き来できる国境で、閑散としていた。
ラオス側のイミグレーション。この少し東側にボーテンという国境があり、多くの人や車はそちらを使うそうだ。外国人もボーテンであれば越えられる。
ルアン・ナムター県の農林事務所で飼育されていた子豚。ラオスの気候に合わせた生産性の良い改良種を飼育しており、将来的に普及させていきたいという。
ルアンプラバンへの帰路、最後の分岐点となるパックモンで小僧の一団が通りかかった。みんなどこかで泳いできたのか、髪の毛が濡れていた。
天気にも恵まれ、今回も楽しくフィールドでの活動を行うことができた。村人や地区事務所のスタッフたちが彼らだけで問題を解決していけるようになるまでにはまだまだ時間がかかるであろうが、こういった活動を地道に続けていくことで村人たちの意識も随分と変わってくるのではないかと考える。当プロジェクトはフェーズ2への移行がほぼ決まっているが、フェーズ2でもこの FORCOM との協力を継続していってもらいたいものである。 (200610月 プロジェクト長期専門家 柏崎 佳人 記)
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