Mt. Elgon National ParkDay 4

2 月 24 日 (火) (マウント・エルゴン国立公園の地図を見る)
      6 時過ぎに起床。昨晩は何度か激しい雨が降り、トタンを叩きつける音で目が覚めたが、明け方、用を足しに外へ出たときには星空が見えていた。今朝の天気は雲が途切れ途切れで、晴れそうな予感がする。昨晩、残しておいたカレーを食パンにつけて朝食を取る。今日、青木先生は大事を取って頂上にはアタックせず、ポーターたちと昨日のキャンプへ降りることになった。

頂上にアタックする日の朝、ムデ・ケイブ・キャンプから


日が当たり始めた。


草原に giant heather が散在する。

4000 メートル近いというのに植物が多く茂っている。温泉へ行くにはここら辺りから左へ折れて別のトラックを進む。

自己主張する giant heather

テーブル状の大地を望む。

ひたすら前進あるのみ。

草原に giant heather


      残りの 4 人はフランシスと共に 7 時にキャンプを出発する。視界の開けた草原の中をひたすら歩くのみ。すぐに日が昇り始め、前方から朝の柔らかい日差しを浴びる。気温が低いからか心地よいまぶしさだ。草原の中に giant heather が散在する景色には雄大さと生命力が混在しており、頑張って歩こうという気にさせてくれる。
      しばらくすると右手に傾斜したテーブル状の大地が見えてきた。ここらあたりの giant heather は、朝日の中で 1 本 1 本が何かを主張しているようだ。このテーブル大地を過ぎ、しばらく進むとジャクソン・プールに到着した。標高は既に 4,000 メートルだ。荷物を下ろし、写真を撮り、しばしここで休憩を取る。なかなか景色の良いところである。今は乾季で全く水がなかったが、雨季には水を湛えてその名の通りプールになるらしい。ここから左側に回り込んでさらに進んで行くと、右手にジャクソン・サミットが現れる。このサミットは昨日から見え隠れしていたのでどんなに高いのだろうと思っていたが、間近で見るとそれほど高くもなく、簡単に登れそうに見えた。実際、これから我々が向かうワガガイ・サミットの方が標高は高いのだそうだ。

ジャクソン・プール (Jackson Pool)

ジャクソン・プールにて、記念撮影


giant heather の若い木

ジャクソン・サミット (Jackson's Summit)


ワガガイ・サミットが見えてきた。


下方にきれいな水を湛える池が見えた。

giant heather 熱帯の高山に特徴的な植物らしい。


群生する giant heather


      ジャクソン・サミットあたりから我らが目指すワガガイ・サミットが遠方に見えてくる。そこにたどり着くまでにはまだ 2 つくらい峰を越え、尾根を歩かなければならない。最も登り切って越えるわけではなく、ある程度迂回する形を取るのだが、それでも登らなくてはならないパートがいくつかあり、4,000 メートルを越えているのでさすがにきつい。歩いても歩いてもなかなかサミットは近づいてこない。ここらあたりにもまだ giant heather が生えているが、むしろ天を仰ぐように背丈が伸びているような気がする。足下には白い花をつけた草 groundsel が咲き乱れている。そんな尾根を歩き続け「まだまだ着かないんだろうなあ」と頑張っているうち、すぐ目の前に頂上が現れ拍子抜けした。キャンプから 3 時間半くらいかかっただろうか。青空が広がり、ちぎれた雲が浮かんでいるという絶好の天気。気温はさほど低くないと思うが、風が強いので体感温度は低い。ここで腹ごしらえ、ビスケットとゆで卵とリンゴで登頂成功を祝う。

groundsel (キク科サワギク属の植物) が咲き乱れる中を登る。


エルゴン山系の最高地点 4321 m、ワガガイ・サミット

山頂は風が強くて寒い。

山頂からの眺め。

昼食を終え、帰途につく。

再び groundsel が咲き乱れる中を下る。

風で手前の草が大きく波打っていた。

ジャクソン・プール近辺

      下山は確かに登山よりも速く体への負担も少ないが、膝に体重がかかるために足を痛めやすく、筆者はあまり得意ではない。両足とも膝の調子はイマイチ。1 時半頃までにはムデ・ケイブ・キャンプへ戻った。ここで再び栄養を補給し、2 時前には青木先生が待つササ・リバー・キャンプへ向けて出発。フランシスは黙々と速いペースで歩き続けたので 4 時前にはキャンプへ到着したが、途中、下り坂がダラダラと続き、両足はすっかり疲労困憊。おまけに高地でさえ全く痛くならなかった頭が、暑さのせいかボーッとしてきて、キャンプに着くとすぐにマットをひいて倒れ込んだ。
      しばらくすると何やら頭に乗せたひとりのポーターが到着し、その荷物を筆者の近くに下ろした。少し透けている袋の上から中身を見ると、何とビールの瓶である。少なくとも 10 本はある。ポーターに聞いてみると、昨日、ムデ・キャンプで一緒になったドイツ人男性の二人組がポーターに買いに行かせたのだそうだ。つまりそのポーターは、今朝、ムデ・キャンプを出て下山し、ビールを買い、再びこのキャンプまで登ってきたということ。「やっぱり毛唐のすることは違うなあ」と、いたく感心した。その彼らは、我々が頂上から下山する途中に登って来ていたため、おそらくもうすぐこのキャンプへ到着することだろう。そしてきっとビールで乾杯をするのだ。10 本あるとしてひとり 5 本ずつ飲む計算になる。青木先生の情報によれば、その二人は昨晩もワインとウイスキーを 1 本ずつ飲んだのだそうだ。今朝、ポーターが空き瓶を片づけていたらしい。
      筆者はササ・リバーで頭を洗い、ようやく生き返った気がした。その晩、キャンプにはササ・パトロール・ハットの交代要員も泊まり込んだため、いつにない賑わいを見せていた。

| 滞在記・旅行記トップ | 1+2 日目 | 3 日目 |
4 日目 | 5 日目|

2009 年 3 月 長期専門家 柏崎 佳人 撮影・記
"エルゴン登山"のスライドショーをダウンロードする。(File Name: MtElgonNP.mov)