国際協力機構
プロジェクトについて
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ウガンダ共和国政府は、農業近代化計画の潮流の中、同省の主要業務として家畜疾病対策を今後維持・強化していく必要があると認識している。そのような状況のもと、農業畜産水産省の機能、役割の検討及びその実施能力の強化を適切に支援しうる経験を有する日本に対し、当該分野の機能強化のための技術協力プロジェクトを要請してきた。家畜衛生昆虫局および診断疫学ラボラトリーに求められている機能は、中央のリファレンス・ラボラトリーとしての総合的な診断技術能力、および地方に対する技術支援体制の形成であり、以下のような協力プロジェクトが立案され、2007 年 3 月にスタートした。

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案件の概要

- 国名:ウガンダ共和国
- 案件名:ウガンダ「家畜疾病対策計画」
- 分野:農業開発/農村開発
- 援助形態:技術協力プロジェクト
- 所轄部署:農村開発部 第三グループ 乾燥畑作地帯 第一チーム
- 投入金額:約 0.9 億円
- 協力期間:2 年間 (2007 年 3 月 20 日〜2009 年 3 月 19 日)
- 先方関係機関:ウガンダ農業畜産水産省 家畜衛生節足動物局 疾病対策課
                                 家畜疾病診断疫学ラボラトリー
- 日本側協力機関: 日本大学生物資源科学部

1. 協力の背景と概要

ウガンダ国における畜産業の現状
        ウガンダ国(以下「ウ」国)は陸地面積約 20 万平方km、人口 2,600 万を有し、熱帯地域に位置しているが、標高が高く、気候は平均気温が22度程度と比較的温暖である。「ウ」国においては、農業は GDP の約 40 %、輸出の約 80 %、労働人口の約 80 %を占める基幹産業であり、中でも畜産業は、農業 GDP の約 16 %を占め、約 2/3 を占める食用作物に次いで重要な位置を占めている。「ウ」国内で飼育されている家畜(牛 610 万頭、山羊 685 万頭、羊 115 万頭、豚 171 万頭、ニワトリ 3,620 万羽、ウサギ55 千羽等)の約 90 %を小規模農民及び牧畜民等が所有しており、世帯数にして、約 200 万世帯(「ウ」国全世帯(500 万世帯)の40%以上)が何らかの形で家畜に依存した生計を営んでいる。
        また、今後の傾向として、国内において、乳・肉共に今後の需要の伸びが見込まれているのみならず、対外的には皮革製品が主要輸出産品の一つとなっており(コーヒー、魚類、タバコ等に続き第 7 位(2001/02年度実績))、乳製品や皮革製品等の輸出増加も期待されていることから、畜産業の振興は「ウ」国における農業全体の振興及び貧困削減に欠かせないものとして位置づけられている。
        かかる状況の中で、疾病による家畜の損失(推計:年間約 90 百万ドル)を防ぐこと、及び農産物貿易拡大の潮流の中で、国際規約によって輸出が禁止されている家畜感染症(口蹄疫、結核、ブルセラ等)の対策を強化することが大きな課題となっている。

政策における畜産業の位置づけ
        国家貧困削減計画(PEAP: Poverty Eradication Action Plan)の5つの重点課題(Pillar)のうちの一つ「生産性、競争力、所得の向上」の中の小項目として、「畜産の振興」が明確に位置づけられている。これを踏まえ、農業・畜産・水産省では「農業省開発戦略及び投資計画」における重点12分野の一つとして「家畜感染病・寄生虫の防除」を設定して対策を進めている。
        しかしながら、PEAPの下位計画に当たる農業近代化計画(PMA: Plan for Modernization of Agriculture)においては、伝統的農業セクターを超えた包括的な取り組み(例:地方分権、民営化を含む民間セクター開発、道路、電力、環境、教育、保健・医療等)が必要とされており、特に地方分権や民営化の流れにより農業・畜産・水産省としての役割・機能が縮小傾向にある。
        このような流れの中で、PMA における重点政策の一つとして導入が進んでいる「国家農業指導サービス(NAADS: National Agricultural Advisory Services)」においては、畜産業に関して、生産技術の普及及び、家畜衛生・感染症防除対策の一部(ワクチン投与等特別な措置を必要としない、日常的な家畜衛生の管理等)への対応が図られてはいるものの、依然として専門的・政策的介入を必要とする家畜衛生・感染症防除については、同省が担うべき重要な役割・機能として明確に認識されている。

畜産セクターにおけるドナー間協調
        「ウ」国政府は、ドナーの支援も得つつ、生産、家畜衛生・防除(診療、伝染病監視体制の確立等を含む)、普及サービス等、あらゆる側面の改善を有機的に連携させつつ畜産業全体の振興を目指す政策をとっており、多くのドナーがこれに協力している(別紙参照)。

要請に至る経緯
        「ウ」国に対する家畜衛生分野における我が国協力の実績は以下の通り。
(1)開発調査「ウガンダ中部農業総合開発計画調査」(1993 年〜1994 年)
      家畜衛生・改良施設整備プロジェクトの実施を提言
(2) 個別専門家派遣
     「家畜疫学調査」(1999 年)施設の新築移転計画実現を前提に本案件の実施を提言
     「農業開発アドバイザー」(1999 年〜2001 年、2003 年〜2006 年)
(3)青年海外協力隊
     「獣医師」(2002 年〜2004 年)本案件の協力対象である家畜疾病診断疫学ラボラトリーに派遣


2. 協力内容

(1) 上位目標
家畜疾病診断能力の強化を通じて、ウガンダ国の家畜疾病対策の体制が改善される。

(2) プロジェクト目標
動物資源水産総局家畜衛生昆虫局国家疾病対策課に必要な動物疾病診断に係る機能が強化される。

(3) 成果
1. 家畜衛生昆虫局国家疾病対策課の家畜疾病診断に関する、より適切な活動指針が作成される。
2. 国家疾病対策課国家家畜疾病診断疫学ラボに必要な、動物疾病診断技術が改善される。
3. 国家疾病対策課と選定された地方獣医事務所との連携が強化される。

(4) 活動
1. 活動指針の作成
・ウガンダにおける畜産の現状(農家の所在、飼育数、飼養体系、疾病など)を調査し分析する。
・地方獣医事務所、マケレレ大学獣医学部、家畜衛生研究所などの家畜疾病診断に関係する組織機関の現状を調査し分析する。
・国家家畜疾病診断疫学ラボおよび地方獣医事務所が所掌すべき役割を検討し確認する。
・アクションプランを作成する。
2. 国家家畜疾病診断疫学ラボの診断能力の改善強化
・優先的に強化すべき診断手技を確認する。
・優先対象の診断手技および診断活動を強化する。
・職員の訓練・研修を実施する。
3. 選定された地方獣医事務所との連携の強化
・連携対象とする地方獣医事務所を選定する。
・選定した地方獣医事務所の職員の研修を実施する。
・プロジェクト活動のモニタリングと評価を行う。

(5) カウンターパート、ターゲットグループ
国家疾病対策課家畜疾病診断疫学ラボラトリー職員、及び選定された地方獣医事務所職員

(6) 対象地域
国家疾病対策課家畜疾病診断疫学ラボラトリー、及び選定された地方獣医事務所の業務対象範囲

(7) 実施機関
・プロジェクトの C/P 機関を農業畜産水産省動物資源水産総局とする。
・プロジェクト・オフィスを動物資源水産総局家畜衛生昆虫局国家疾病対策課の家畜疾病診断疫学ラボ内に設置する。

(8) 投 入
i) 日本側投入(日本側投入総額 0.9 億円)
・専門家:家畜疾病診断システム 1名 24 M/M、家畜疾病診断技術 1名 3 M/M x 4 回 (シャトル派遣を想定)
・機材供与:車両、事務機器、研修用資材、実験室検査機材、簡易診療器具
C/P 研修
・ローカルコスト負担
ii) ウ側投入
・執務室、診断ラボ、講義室、備え付けの機材等の提供
・要員配置(農業畜産水産省動物資源水産局内(畜産衛生昆虫部、国家疾病対策課)の C/P 配置)
・ローカルコスト

(9) 協力期間
2 年間とし、長期専門家派遣から協力開始とする。
  

フェーズ 2 「家畜疾病診断・管理体制強化計画」詳細計画策定調査報告
プロジェクト事務所
c/o National Animal Disease Diagnostic & Epidemiology Laboratory
Ministry of Agriculture, Animal Industry & Fisheries
Airport Road, P.O.Box 24, Entebbe, UGANDA
TEL & FAX: +256-(0)41-322 367
お問い合わせ、その他ご意見は ーー> e-mail to: yk8@woody.ocn.ne.jp