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ジンジャ獣医事務所 |
事務所には所長 1 名、7 つの Sub-county に獣医師が配置されているがラボテクニシャンはいない。事務所にはラボや試薬類は無いが、同じ建物の中に人のクリニックのラボがあり、そこを借りて血液や糞便の顕微鏡検査を行なっている。検査用のサンプルはマケレレ大学獣医学部に依頼する例が多く、最近の検査依頼例には皮膚病変、狂犬病、マレック病疑いの病理検査、ニューカッスル病の検査、血液原虫、糞便検査、乳房炎の検査などがある。この事務所では農家に依頼された検査結果を現場へフィードバックすることの重要性をよく認識している印象であった。 |
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ジンジャ獣医事務所。 |
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ジンジャ獣医事務所内部。 |
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獣医事務所検査室。内装工事中で物が散乱していた。 |
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クリニックの検査室。 |
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ムバレ獣医事務所 |
事務所には所長 1 名、ラボ・テクニシャン 1 名がおり、顕微鏡、遠心器、冷蔵庫、電熱式滅菌器などが設置されている。血液原虫、糞便の顕微鏡検査は可能であるが、細菌やウイルスの検査は出来ない。県は4つの地区に分けられ、計 11 の Sub-county があるが、獣医師は 5 名しか配置されていない (畜産スタッフ3名)。日常の業務は農家に対する普及、治療、ワクチン接種などである。血液原虫、寄生虫卵の検査はラボ・テクニシャンが行っているが、その他の検査は近くの畜産研究所に依頼し、検査料は農家が支払っている。牛疫、牛肺疫など特定の疾病については、家畜診断疫学ラボラトリーまたはマケレレ大学獣医学部に検査を依頼している。 |
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ムバレ獣医事務所。 |
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検査室。 |
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ムバレの子供達。 |
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ムバレの街並み。 |
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クミ獣医事務所 |
事務所には所長 1 名とラボ・テクニシャンがいる。Sub-county には獣医師 5 名、畜産スタッフ 11 名が配置されている。診断はほとんどを臨床症状に依存し、ラボ検査診断による確認は行われていない。現在の事務所はアイルランドの援助により建設されたが、内部の機材はまったく無い状況である。エンテベの家畜診断疫学ラボラトリーは遠く (約 400 km)、サンプル輸送や通信の問題がある。このため、事務所長は、担当地域内では多くの疾病の発生があることを述べたうえで、地域ラボの必要性および、事務所においても簡易な検査を可能とすることを強く希望している。
当該地域において問題となっている牛の疾病は何と言ってもダニ媒介性感染症であり、その中でも東海岸熱 (East Coast fever, Theileria parva) は牛死亡原因の 60-70 %を占めている。他にもバベシア症の流行やアナプラズマ症などの発生も見られる。またある地域においてはツェツェバエの生息数が非常に多く、トリパノゾーマ症 (trypanosomiasis, Trypanosoma vivax, T. congolense, T. brucei ssp.) が問題となっている。牛や山羊で流産も多く見られるが、原因の特定には至っていない。
このところ鶏の飼養羽数が増加しており、それにつれて突然何度かジャンプした後でコロッと死亡する個体が増えており、アヒルでも同様の症状での死亡例が見られる。豚ではアフリカ豚コレラがやはり一番重要な疾病である。野良犬が多いことにより狂犬病対策も重要であり、人の感染も実際に起こっている。 |
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クミ獣医事務所外観。 |
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検査室内部。機材類は何もない。 |
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キボガ獣医事務所 |
所長 1 名、隣接する Sub-county に配属されている若い獣医師がラボ担当として、積極的に検査を行っている。14 Sub-county に獣医師 4 名、獣医師補 6 名が配置されている。事務所には顕微鏡、遠心器、冷蔵庫があり、血液原虫、ヘマトクリット、疥癬や真菌の皮膚感染症、糞便などの顕微鏡検査を行なっている。頻繁に起こる停電対策が必要。
この地域でもダニ媒介性感染症が最も重要な牛の疾病であることには変わりない。東海岸熱を初めとしてバベシア、アナプラズマの他に、心水熱 (heartwater, cowdriosis, Ehrlichia ruminantium) も頻繁に発生が見られるが、診断が難しい。また川沿いの地域ではトリパノゾーマ症による被害も大きいため、農家はダニとツェツェバエの両方に効果的な強い防虫剤を使っている。流産も多く、Abortion Storm のように一斉に発生するような事例も見られたが、原因は不明のままである。気腫疽 (black quarter, Clostridium chauvoei) による突然死も散見するが、炭疽 (anthrax, Bacillus anthracis) の発生は少ない。
鶏ではやはりニューカッスル病による被害が大きいが、ワクチネーションの普及により状況は改善されつつある。他にはコクシジウムによる事故も頻発している。クミ同様に野犬が多いため、狂犬病の被害が後を絶たない。政府による野犬駆除などの対策は取られておらず、住民はコミュニティーベースで様子のおかしい野犬の駆除を行っている。 |
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キボガ獣医事務所外観。左は所長代理の Dr. カムラシ。 |
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検査室。左が若い獣医師の Dr. ンセレコ。 |
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検査室。 |
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キボガの目抜き通り。 |
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