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ムバララ獣医事務所
      獣医師は所長とラボ担当獣医師 2 名の計 3 名で、他に畜産スタッフ (Animal Husbandry Officer) が 2 名配置されている。ムバララ District は最近4District に分割されたが、獣医事務所の体制はまだ、行政区画の分割に追いついておらず、ムバララ獣医事務所が中心となっている。旧ムバララ District の 24 sub-county には 23 名の獣医師と 1 名の獣医師補が配置されている。訪問した獣医事務所の中では、ラボの機材は最も良く整備されている。顕微鏡、卓上型遠心器、蒸留水製造装置、インキュベーター、冷蔵庫が設置され、血液塗抹による血液原虫の顕微鏡検査、平板凝集反応によるブルセラ検査 (ローズベンガルによる凝集試験で、10-20 %の陽性率だったそうである)、寄生虫糞便検査を主として行なっている。他地区の獣医師達もここのラボを利用しているという。
      この地域では、年に 2 回の乾期に草と水を求めて牛が移動するため、その時期に病気が広がる。重要な疾病は東海岸熱、口蹄疫、牛肺疫、ランピースキン、狂犬病など。この地区ではダニ防除のために牛の薬浴が一般的で地区全体に約 200 の薬浴場があり、週に 1 回の割合で薬浴をさせているという。そのため、薬浴槽内の水の殺ダニ剤の濃度を一定レベルに保てるよう、残留濃度の測定を事務所の検査室でできるようにしたいという要望があった。しかしそれには液体クロマトグラフィーが必要であり、とてもこの検査室で維持管理できるとは思えないというのが正直な印象であった。

ムバララ獣医事務所。

ムバララ獣医事務所前で歓談する Dr. デオ (左端)。

獣医事務所検査室。

「ムバララ地方獣医事務所および検査室」と書かれた看板。

フラ獣医事務所
      事務所には所長 1 名のみ。12 の sub-county に 12 人の獣医師が配置されている。Haya および Kazo という sub-county の事務所にラボがあるが (約 20 年前に FAO によって整備された)、今ではほとんど機能していない。Kazo 地区には電気・水道のインフラが整備されていないため、ラボでは天水をポンプで汲み上げて水道として使用、また電気はソーラーを利用して冷凍庫を動かしていた。ガスで動く冷凍冷蔵庫がある。現在、ポンプが故障して水が汲み上げられず、またソーラーパネルは機能しているものの冷凍庫が故障している状態である。
      この地域は酪農地帯であり、キルフラ地区だけで毎日 100 トンの牛乳をカンパラへ輸送している。それゆえブルセラ病は重要な問題であり、これまでにもその危険性が何度も指摘されてきた。またタンザニア国境から牛が移動するのに伴って疾病が運ばれてくるが、特に口蹄疫が問題となっている。隣接する国立公園の野生動物が感染の温床となっているとも説明された。他にはランピースキン (ワクチンは 1 ドースあたり 1600 シリング=約 1 ドル)、牛肺疫も重要な疾病であり、国立公園のボーダーで牛肺疫に対するワクチン接種を定期的に実施しているそうである。

酪農地帯のキルフラでは、こんな看板の店が目についた。

キルフラ地方の中心部、様々な事務所が建つ丘 (写真の家は獣医事務所ではない)。

カゾ・サブカウンティーにある獣医事務所。

約 20 年ほど前、FAOによって整備された時のプレート。

カゾ獣医センターの検査室。

屋根の上 (右側の窓の上) にソーラーパネルが見える。

マサカ獣医事務所
      事務所には所長獣医師 1 名のみ、獣医師 9 名と畜産スタッフ 23 名が 19 ヶ所の Sub-county に配置されている。GTZ 支援による顕微鏡、卓上遠心器、ヘマトクリット遠心器、乾燥オーブン、冷蔵庫、蒸留水製造装置、インキュベーターがあるが、顕微鏡はレンズ、コンデンサーにカビが生えて使用不能。冷蔵庫、蒸留水製造装置も故障。遠心器は使われている形跡なく、設備はかなり整っているにもかかわらずラボ診断活動はまったく行われていない。検査機材が使われていない理由として所長は、「テクニシャンがいない、獣医師は実験室での仕事を好まない」との理由を上げている。この 7 月にラボ・テクニシャンがひとり配属される予定。検査用のサンプルはマケレレ大学獣医学部に送ることが多いが、Sub-county の獣医師が直接マケレレ大学に持っていく例もあり、獣医事務所としてすべては把握していない。
      この地区では 6000 軒以上の農家が 3-4 頭の牛を飼養するのみの小規模農家 (ゼログレイザー) である。ムバララと同じく、乾期に牛が移動して疾病が広まるというパターンが見られ、特にタンザニアから移動してくる遊牧民が疾病を運んでくることが多いという。牛で問題となっている疾病は他の地域と同様である。また鶏には多くの慢性感染症が見られ、混合感染の割合も多く、この地区で最も重要な問題となっている。狂犬病では、昨年 2 人が死亡。この地区では死んだイヌを運ぶことがタブーになっているという。

マサカ獣医事務所。

受付カウンターの手前が検査室になっている。

ムピジ獣医事務所
      ムピジの獣医事務所には所長 1 名と、日本で研修を受けたことのある獣医師が 1 名配属されている。また隣接する農業事務所には青年海外協力隊員も配属されており、獣医事務所スタッフとも良好な関係が築かれている。実際、この地区には村落開発の隊員がグループ派遣されており、各々異なる sub-county に配属され、主としてネリカ米の普及に従事している。検査室はあるものの、顕微鏡が 1 台とヘマトクリット用の遠心器が 1 台あるのみ。
      この地区には肉牛が 116,000 頭、山羊が 41,839 頭、羊が 10,351 頭、豚が 85,015 頭飼養されている。重要な疾病は、牛では東海岸熱、アナプラズマ、バベシア、ランピースキン、口蹄疫 (昨年発生があった)、牛肺疫、気腫疽、炭疽など、豚ではアフリカ豚コレラである。また消化管内線虫はすべての動物種で重度の感染が見られる。狂犬病も重要な疾病のひとつである。

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