カンパラに来て最初に気になったのは鳥です。朝などアパートの近くを散歩していると色々な鳥を見かけます。カラスは胸の部分が白くてパンダみたいですし、また特に目立つのがコウノトリです。日本では天皇皇后両陛下が毎年放鳥されたりして保護に努め、最近では40何年ぶりかで抱卵しているつがいが確認されたなどと Asahi.com のホームページで読みましたが、ここでは町中だというのに至るところで見かけます。実際、体がかなり大きい鳥ですので、街路樹などでボーッとしているコウノトリなどは違和感があるどころか、見る者に恐怖感さえ抱かせます。先日、歩道を歩いていたら、後ろからコウノトリが歩いてきて隣に並びました。どうも羽を怪我して飛べない鳥のようなのですが、何もよりによって数少ない通行人の隣をわざわざ歩く必要はないのではないか、失礼ではないかとムッとした次第です。しかも汚いし。僕は目が合うのを怖れて横目でちらちら見ていたのですが、何かされるのではないかと気が気ではありませんでした。
昨日の晩はベランダでコウモリが這いずりまわっていました。そのうちおとなしくなるかな、と抛っておいたのですが、ベランダのドア下の隙間から部屋の中へ入ってきてしまい、床をバタバタ這いずり始めました。仕方なく雑巾で取り押さえて外に放すと、さっきまで這いずり回っていた無様な姿からは想像もできないほど器用にすっと闇の中へ飛んでいきました。子どもの頃に「コウモリは地面に落とすと飛べなくなる」と聞いた話は本当だと、この年になってしかもウガンダで確認できるとは思ってもいませんでした。
さて職場ですが、空港の隣、エンテベという昔の首都郊外にあります。現在の首都であるカンパラからは40 キロほど、車で約1時間かかります。ビクトリア湖を望む高台にあり、診断センター内の自分の部屋から湖が見渡せます。センターは農業畜産水産省の一機関であり、その本省もエンテベ市内にあります。省といってもほとんどの建物が平屋か二階建て、野生のベルベット・モンキーが遊びに来る様なところです。通勤中、ドライバーはラジオで BBC ワールドのニュースを聞いています。考えてみれば、これまでドライバーと英語で会話ができる国などなかったのですから、その意味では働きやすい国なのかもしれません。
まだ「本格的に仕事を始めた」と言えるにはほど遠い状態ですが、先週スタッフを集めて初めてのミーティングを開きました。インフォーマルな、ざっくばらんに話し合える会議にしようということで所長の了解を得ていたのですが、いざ始まってみると「議長は誰にするか」という議題で5分経過、その後は「お祈り」です。この様子を見ていて、突然、高校の始業式・終業式を思い出してしまいました。うちの高校はカトリック系、校長のカナダ人ロゼール・フールが式の最初にいつも舌っ足らずの日本語で「じぇんちじぇんのうのかみよ (全知全能の神よ)」で始まるお祈りをしていたのです。
お祈りの最後にみんなが十字を切ったので、自分は末広がりに八の字でも切ろうかという考えがふと頭をよぎりましたが、変な誤解を与えるとまずいのでやめておきました。その後は自己紹介や所長の近況報告が延々と続き、結局、最初の 30 分はプロジェクトとは関係のない話で終わってしまいました。無駄のない会議というのはどこの国でもありえないのかもしれません。しかしこの形式張った進行法はどこからきたのでしょうか。イギリスでもこんな堅苦しいミーティングはしていませんでしたが、、、
お題は「JICA プロジェクトについて」だったので、僕がひと通り説明をして、その後意見を出し合いました。これから2ヶ月程度の期間でみんなが納得できるようなアクション・プランを作るということで了解を得ましたが、彼らの間からどこまでアイディアが出てくるかはわかりません。イギリスから頭を抑えつけられてきたのか、与えられたものをこなすことに慣れているのか、詳細な活動計画ができていないということにとまどいを感じているような印象を受けました。「自分たちで作ってそれを着実にこなしていく方がいいだろう」と力説したものの、これからどうなりますことやら。前途多難なことに変わりはありません。
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