3. 症 状
ND ウイルスは病原性から次のように分けられている。
i) 強毒内蔵型 (急性型、アジア型)
群内の急死がまず目立ち、次いで1〜3日の経過で全ての鶏が発病し、死亡する。この間、食欲廃絶、沈鬱、嗜眠,立毛を示し、白色便を混じえた緑色下痢便を排泄し、肉冠の鬱血、呼吸器症状がみられ、病鶏は集合してうずくまり、起立不能、痙攣を起こして死亡する。産卵中の鶏は産卵を停止するが、甚急性の場合、死の直前まで産卵する例があるという。経過が長びく例では神経症状 (脚、翼の麻痺、斜頸、チック <断続的痙攣>) を示す。死亡率はほとんど100%。
ii) 強毒神経型 (慢性型、アメリカ型)
アジア型に類似するが、やや慢性の経過をとる。特徴ある症状は緑色下痢便、呼吸器症状、神経症状である。多くは2〜7日の経過で死亡するが、この期を耐過すれば回復する。産卵中の鶏は産卵を停止する。群としてみれば、産卵の急激な低下、停止となり、約1ヶ月続いて回復に向かう。この時、軟便、小型卵がみられる。老齢鶏では換羽に入って休産 (2〜3ヶ月) するという。この型のウイルスは病原性に多様性があり、若鶏など症状は重く死亡率も高い。若鶏 (1ヶ月齢前後) で 50〜80%、成鶏で5%前後の死亡率。
iii) 中等毒型 (Beaudette 型)
病勢は軽く、特徴は呼吸器症状と急激な産卵の低下である。死亡率はひなで数%、ほかは死亡することはまれである。
iv) 弱毒型 (Hitchner 型)
ひなでもほとんどが症状を示すことはない。この型に属するウイルス (B1株など)は生ウイルスワクチンに用いられている。剖検すると消化管の出血、潰瘍が特徴的所見としてみられる。好発部位は腺胃、十二指腸起始部、メッケル憩室の後方、盲腸扁桃などである。この所見は粘膜面のみでなく漿膜面にもみられることがある。外に気管の滲出物の増加、充血、出血、あるいは軟卵胞、血腫卵胞、破裂卵胞、また腹腔への破裂卵胞の流出などがみられるが、これらは他の感染症にもみられる所見である。
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